海外転勤や留学中、日本の銀行や運用している資産はどうなるの?

こちらのコラムは楽天WOMANからの引用です。J-addressとしての意見は入っておりません。
ニュースとしてお楽しみください。

海外転勤や海外留学など、長期にわたって海外に滞在する人が増えてきています。海外に住むことで海外のサービスを利用できるようになる半面、日本国内では「非居住者」と扱われるため、国内居住者向けのサービスや制度は利用が制限されます。

特に、銀行や証券会社などの金融機関は、国内居住者か非居住者かで利用できるサービスに差が出てきます。そこで今回は、海外転勤や海外留学を予定している人が知っておきたい、日本の銀行や資産運用を継続して続けるためのポイントをお伝えします。

 

どうして非居住者は金融機関の利用を制限されるの?

海外転勤や海外留学などによって海外の居住者になる人は、日本の銀行や証券会社を今まで通り利用するのは難しくなるのが一般的です。なぜなら、銀行や証券会社は基本的に日本の通信環境や法律、制度に合わせてサービスを提供しているからです。海外への郵便物の送付や電話連絡などが難しい点も、サービスが制限される一因と考えられます。

非居住者の定義は金融機関によって異なりますが、所得税法で定められている非居住者を目安に、「1年以上海外に住む場合」と考えておくと良いでしょう。

<非居住者(所得税法)の定義>
居住者…国内に住所を有し、又は、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人
非居住者…居住者以外の個人
※住所は、個人の生活の本拠をいい、生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定する

 

海外居住中の継続利用に向けて準備しよう!

海外居住中でも、生活費の送金や、日本の親族や友人への振り込み、クレジットカードの引き落とし、金融商品の売買など、何かと日本の銀行口座や証券口座を利用する機会はあるものです。海外へ引っ越す見込みが出てきたら、まずは自分が利用している金融機関が海外でも継続して利用できるのかを確認することが大切です。

 

金融機関によって詳細は異なりますが、主に3つに分類できます。

1.海外居住者向けのサービスを用意している金融機関
2.継続利用を許可している金融機関
3.原則として口座は解約となる金融機関

 

一番厳しいのは、解約を求められるケースです。この場合、出国前までに資金を整理して口座を閉じる必要があります。継続利用を許可している場合であっても、株や投資信託などの金融商品の売買制限や、インターネット取引の動作保証をしていない金融機関は少なくありません。海外居住中でも確実に国内への振り込みや海外送金などを行いたい人は、海外居住者向けのサービスを利用すると良いでしょう。

 

また、海外居住中は、金融機関からの連絡や郵送物が届く国内住所・連絡先を届け出る必要があることがあります。親族や実家など、協力をお願いできる人を探しておきましょう。

 

NISAやつみたてNISAは継続可能に!?

株式や投資信託の利益、売却益や配当金が一定期間非課税になる「NISA」や「つみたてNISA」は、できれば海外居住中でも継続したいものです。これまで国内居住が要件となっていましたが、平成31年度の税制改正によって条件が緩和され、一部の人は、出国後もNISAやつみたてNISAの口座をそのまま維持できるようになりました。いくつか条件や制限があるため、制度を利用する前にしっかり確認しておきましょう。

 

<条件や制限などの注意点>
・対象は、転勤などのやむを得ない事情により一時的に海外居住者となる人
・出国前や帰国後に所定の届出書を金融機関に提出する必要がある
・海外居住中は新しく株式や投資信託を購入することはできない
・届出書を提出した日から 5年を 経過した年の年末(12 月31 日)までに帰国の届けがない場合は、非課税口座が廃止される

 

 

ただし、利用している金融機関が税制改正に対応しているとは限りませんので、直接問い合わせて確認することが大切です。また、海外居住中に配当金や売却による譲渡益が発生したときは、居住国で課税される可能性がある点にも注意しておきましょう。

 

海外転勤中も活用したい確定拠出年金制度

企業型DCやiDeCo(イデコ)と言われる「確定拠出年金制度」は、日本の公的年金の上乗せ部分として考えられているため、海外居住中も日本企業に所属して日本の社会保険制度に加入していれば、掛け金の拠出や運用を行うことができます。

一方、海外勤務期間が5年を超える人や現地企業での採用など、日本の社会保険制度から抜ける場合には運用指図者となります。これまで積み立てた資産は継続して運用できますが、掛け金を拠出することはできなくなります。

 

 

海外居住中の確定拠出年金制度(個人型)の継続利用

国民年金の被保険者種類 海外居住中の継続利用
第1号被保険者 例:自営業者、学生等 掛け金の拠出ができない・運用ができる
第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者) 例:会社員、公務員 掛け金の拠出・運用ができる
第3号被保険者 例:第2号被保険者に扶養されている配偶者 掛け金の拠出・運用ができる

資料:執筆者作成

 

 

海外居住中は日本の金融機関を通した金融商品の新規購入が制限されやすいため、海外居住中も定期的に掛け金を拠出することができる確定拠出年金制度は貴重な存在です。「海外生活は一時的なもので、老後は日本で…」という人であれば、確定拠出年金を利用して資産運用を続けていくのもひとつの手です。

 

金融機関への確認は「早めに!」がポイント

日本に居住しているときは当たり前に利用できるサービスでも、海外居住者になると様々な制限が出てくるため、早めに確認することが大切です。海外居住者でも利用できる口座を開設する、海外居住中は資産の売買ができなくても困らないように比較的安全な金融商品に買い替えるなど、時間があれば選択肢が広がります。

できれば出国日の半年~3カ月前、遅くても1カ月前には利用している金融機関が継続して利用できるかどうかを確認すると良いでしょう。何かあっても気軽に帰国とはいかないのが海外転勤や留学です。出国前に万全の準備を整えていきましょう。

(張替愛)

 

このニュースは楽天WOMANからの引用です。

金融機関によって対応が異なることを知らずに「銀行の対応できますか?」との質問は多いです。このニュースでもあるようにご自身の状況を早めに把握することはとても大切です。クレジットカードも同様に個々の会社で方針は様々です。新たに海外在住者の利用を認めている金融機関を開設する必要も出てくるかもしれません。「海外で住むことが決まって最初にすることは?」と聞かれたら金融機関の確認を迷わず一番に勧めます。